Julian Schnabel監督作品 BASQUIAT
恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞。1980年代のモダン・アート・シーンを疾走した黒人画家Jean Michel Basquiatの生涯を描く伝記映画である。Basquiatというフランス風の苗字から察せられる通り、彼はアフリカ系ハイチ人を父に持ちアメリカに在住している、台詞にもある通りのいわゆるクレオールであり、この辺の事情が描かれていないのが残念なのだが、何らかの都合でニューヨークでホームレス的な生活をしている。そして街のあちこちに落書きをして過ごしていたある日のこと、A.ウォホールにその才能を見出されるのだが、その後の活躍とその悲惨な死は現代美術をかじった方ならよくご存じであろうからあえてここで記述する必要もない。
とても分かりやすい映画で、ある意味で1980年代N.Y.のアート・シーンの懐古的な作品にもなっている。ただ、Basquiatの作品が持つほどのエネルギーは、残念ながら私には感じられなかった。ちょっと、平板な感じがする。逆に、その平板な描き方こそが、Basquiatへのオマージュになっているのかも知れないが。
出演はBasquiat役のJ.ライトの他にD.ボウイ、G.オールドマン、D.ホッパー、C.ウォーケン、C.ラヴ、W.デフォーなど。オールドマン/ラヴの出演は明らかに彼らが主演したSid and Nancyを喚起させるためのものであろう。Basquiatもまた、薬物中毒で死んでいくのだ。享年27歳。1988年のことである。この年は確かウォーホールの死の年でもあったように思う。
ちょっと気になったのだが、サウンド・トラックにJ.ケイルは使われているが、どういう訳かL.リードの名前はなかった。意図的なものだろうか。(1997/8/29)