Ridley Scott監督作品 GLADIATOR 2000.12
本年度アカデミー賞12部門ノミネート作品。はっきり言ってこれはおかしい。特に、作品賞・監督賞・主演/助演男優賞などというのは、何を考えてノミネートさせたのかさっぱり分からない。本作品は、2世紀のローマ帝国を舞台とした、皇帝の謀略により妻子を殺された元ローマ帝国軍将軍が、グラディエイター=剣闘士となり、ゆくゆくは皇帝に挑み、復讐を遂げる、というあっけないほど単純なお話。物語に何らの紆余曲折も深みもなく、人物造形も薄っぺらで、そもそもこのような作品が今日製作される意味自体が良く分からなかった。唯一評価できるのは技術的な部分で、確かにローマ市街のジオラマや、コロシアムのセットは圧巻とも言い得るものであるし、更にはこの監督特有の陰影に富んだ映像も見事なものではある。しかしながら、いかんせん映画としての出来映えには疑問符を抱かざるを得ないのである。劇場で見なくて良かった、と胸をなで下ろした次第。まあ、同監督の近日公開作であるHANNBALに期待しようと思う。蛇足ではあるが、本作品中では第2ポエニ戦争時のカルタゴの将軍・ハンニバルへの言及がなされていることを付け加えておく(そもそも基本的にイタリアを舞台としている点など、ひょっとして、宣伝を意図したもの?)。(2001/03/24)