Eurythmics Peace
Dave StewartとAnnie Lennoxの仲違いで活動停止していたらしい1980年代を代表するエレクトロニック・ポップ・ユニットの本当に久々の新作。路線はAnnie Lennoxの一連のソロ作を継承する、初期Eurythmicsのディジタル・ポップから完全に乖離した、シンセサイザー音や打ち込みを極力減らしたロック・アンド・ソウル。1980年代前半に時代に同調する形でエレクロトロニック・ポップ・ムーヴメントの一翼を担ったともいえる彼等だが、その当時持っていた独特の暗澹とした雰囲気を払拭して、後期Eurythmicsから見られるようになった、Annie Lennoxの見事なヴォーカリゼーションを最大限に活かしたポジティヴでソウルフルな展開をそのまま維持。前に示した同じく女性ヴォーカルとプロデューサー的なマルチ・タレント男性ミュージシャンのコンビであるEBTGの一連の活動と対照すると誠に面白い。考えてみれば、この二つのユニットが登場したのも同じ時期だったんだね。私見では、The Rolling Stones的な第3曲と第8曲、The Beatls的な第10曲(これは笑える。)を含め、1960年代以降のロック、ソウルを回顧しつつ、21世紀を展望しようという、意欲的な作品であると思う。まあ、それはともかく、これまた個人的にはここ10年位、Annie Lennoxこそ今日における世界最高のポップ・シンガーではないかと考えている。実のところ、Eurythmicsなんていう名前は最早どうでもいいのだ。中身はソロ作と全く変わらないのだから。(1999/11/11)