björk utopia
アイスランド出身の天才ヴォーカリストであるビョーク(björk)による、ソロでは通算9枚目のスタジオ・アルバム。71分というCDの限界近いヴォリュームを持つこのアルバム、前作『ヴァルニキュラ』(2015)に続いてヴェネズエラ出身の若いミュージシャンアルカ(Arca)が主としてエレクトリック楽器担当として参加し、クレジットを見る限り二人からなるユニットによる作品、という体裁をとっている。このところの一連の作品にみられたような、ストリングスやハープといったいわゆるクラシカルな楽器を主体とするサウンドを背景として(今回はとりわけフルートの比重が非常に高い。)、ビョークの歌唱が音楽空間の前景をほぼ占める形態を継続。これはもう、まだ呼び名が確定していない「一ジャンル」を開拓している、と言っても良いのかも知れない。その音楽としての先進性や洗練度は他に類を見ないもの、である。先に上げたベック(BECK)のアルバム『カラーズ』とは別の意味で、本年のベスト、と言える内容を持つ傑作、と申し上げておきたい。以上。(2017/12/03)